■冒険ファンタジーの最高傑作
指輪物語サーガは映像作品として、また冒険ファンタジーとして最高傑作だと思っています。スターウォーズはSF冒険ファンタジーの金字塔ですが、こちらは中世代風冒険ファンタジーの金字塔です。どちらも大好きですが、私は物心ついた頃からドラクエをプレイしてきたこともあってか、どちらかというと指輪物語サーガの方が好きです。美しい映像と効果的な演出。物語のメッセージ性。どれをとっても最高の作品になっています。特にスターウォーズはメッセージ性よりもドラマ性を重視していますが、文学作品として名高いトールキンの作品を原作としているだけあって重みが違います。■強欲の愚かさがテーマ
物語の目的は13人のドワーフの故郷エレボールの奪還です。奪還なんて仰々しい言葉を使いましたが、それには深いわけがあります。なんと強大で無慈悲なドラゴンが彼らの故郷を奪ってしまったのです。この作品においてドラゴンは将に人間の強欲の象徴であり、ドラゴンの言葉や行動は強欲がどれほどの災いをもたらすかを表現しています。人間の歴史を振り返って見れば、強欲を引き金に多くの血が流され、破壊と破滅が呼び起されました。現代の私たちはこの作品から学ばなければならないことがたくさんあります。
兎にも角にも、このドラゴンの存在が物語の終盤に至るまでこの作品を支配します。この緊張感がまた良いんですよね。そして道中ももちろん危険だらけで仇敵のアゾグが襲い掛かって来たり、ロードオブザリングに繋がるサウロンと一つの指輪も出現します。
■第3部のラストシーンは必見
物語のキーマンは最後の山の下の王、トーリン・オーケンシールドです。ビルボという観測者の視点で見た物語。ドワーフともエルフとも人間とも違う、中つ国の第三者視点だからこそ彼の生き様を冷静に見つめることができるのです。そしてラストシーンでの彼の一言は恐らく作者の最も伝えたかったメッセージでしょう。第一次世界大戦から第二次世界大戦を生き抜いた、トールキンだからこそ達することができた境地とでもいうのでしょうか。物語の初めは家を取り戻すことだったのです。彼らが愛した我が家を取り戻すという夢。第三部の惨状を思うと、かくも強欲が心を蝕むものなのかと深い悲しみを感じます。■本当に後世に残すべきものとは
トールキンの物語は栄枯盛衰の事実に、本当にトールキンの思う世の中の真理を重ねる傾向があります。例えば、ロードオブザリングでドワーフ一族は衰退してしまっていましたが、その理由は間違いなく正当継承者の血筋の断絶です。しかし血筋を残すことに本当の意味があるのではなく、思想の伝播や決断を行う指導者の喪失が問題なのです。ロードオブザリングの第三部のタイトルは「王の帰還」です。イライジャ・ウッド
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-12-04
イライジャ・ウッド
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-12-04
最後は人間の王であるアラゴルンが民を導きました。アラゴルンはストライダーとして世の中の現実を広く観察した結果、真の王として目覚めるとともに太平の世を築き上げたとされています。つまり作者は自らが悩み、弱さを受け入れて乗り越えた経験あってこそ、他者を正しい道へ導くことができると考えているのではないでしょうか。ドワーフではまさしくトーリンの役目です。だからこそ、ビルボはトーリンにあのような言葉を投げかけたのでしょう。
■まとめ
いかがでしょうか。作者のトールキンは二度の世界大戦を経験し、実際に兵士として出征もしています。生と死の狭間を経験した作者だからこそ、伝えたいことがあるのだと思います。この作品には現代社会に生きる私たちが学べるものがたくさんあります。この作品で起こった悲劇を現実に起こさないようにするとともに、現実で人間が経験した悲劇も後世の人々に味わせないようにしなければなりません。そのためにもホビット三部作を通しで見てみましょう。
今回の記事が購入を迷われている方の参考になれば幸いです。
イアン・マッケラン
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-11-25
イアン・マッケラン
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-04-22
イアン・マッケラン
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-11-25
イアン・マッケラン
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-11-25